思えばあの頃の関係は、共通の目的を持った『仲間』だと言って良いだろう。
そうだ、いつも3人でいた。⬛︎⬛︎と⬛︎⬛︎⬛︎も、最初は互いに警戒し合ってたけれどすぐに打ち解けて仲良くなった。それが嬉しかった。友達と友達の仲が良いのはとても喜ばしいことだ。
任務の外でもよく3人でつるんでいた。天真爛漫にはしゃぐ⬛︎⬛︎を、俺と⬛︎⬛︎⬛︎で止めるのが毎日のやりとりだった。
楽しい日々だった。本当に、あれは正に『仲間』と呼べる関係だったのかもしれない。
「――?」
名前を呼ばれてふっと意識が浮上した。どうやら長い間考え事をしていたらしい。理性的でない自分は自分らしくない。
気を引き締めて、いつもの顔で⬛︎⬛︎の方へ顔を向ける。
「どうしたの? すごく怖い顔してるよ?」
車椅子に座ったまま、心配そうにして⬛︎⬛︎が顔を覗き込んできた。だめだ、心配させるのはだめだ、失格だ。いつもの無表情のはずなのに、今日の自分はやはりどこかおかしいらしい。
気まずくなって目を逸らす。「なんでもない」と言ったつもりだが、⬛︎⬛︎に届いていたかは分からない。
「……明日のことで悩んでるの? 大丈夫だよ、僕もついて行くから。僕らは仲間でしょ? ひとりじゃないよ」
ふんわり笑う⬛︎⬛︎の顔を見て耳鳴りがした。真っ暗な部屋を照らす、柔らかなオレンジ色の間接照明がこの時ばかりは恨めしく思った。オレンジ色はあいつの――
そう。明日、明日は⬛︎⬛︎⬛︎の命日だ。
お題:仲間
12/10/2023, 2:13:49 PM