地元の港にやってきた大きな白い船。
名前は、未来丸というらしい。
俺を含む数人の男女は、更正させれるために港へ連れてこられた。
全員、ひきこもりのニートなのだ。
ここから離れた島に更正施設があるらしく、今日から一年間そこで過ごすことになる。
正直、行きたくない。
だが、将来のことを考えて、親に迷惑をかけたくないので、頑張ろうと思う。
船から、強面のムキムキ男が降りてきた。
筋肉を見せつけたいのか、服装は半袖半ズボン。
この人が更正施設の教官なのだろうか?
俺達は男に厳しい目を向けられる。
「あなた達、いい目をしているわね。大丈夫、心配しないで。あなた達ならきっと更正出来るわよ。さっ、船に乗って」
男はおネエ言葉で俺達を激励した。
この人が教官か……少し、不安だ。色んな意味で。
俺達は船に乗り込む。
船は波でゆらゆら揺れて、少し怖い。
「全員乗ったわね!未来丸船長の私が、あなた達の未来を変える第一歩として、無事に島まで送り届けるわ!未来丸、出港よ!」
だからこの船は未来丸って名前なのか。
船はエンジン音を響かせながら、動き始める。
いや、それにしても……。
このムキムキおネエ男は教官ではなく、船長だったとは。
外の世界は不思議で溢れてるんだなと、実感した。
5/11/2025, 11:22:43 PM