旦那の夢は『老後、夫婦水入らずでキャンピングカーで日本全国旅すること』
若い頃からその夢は一貫している。
「どこにそんなお金があるの」
冷たくあしらう。
中古車で購入しても、車好きな旦那はオプションを付けまくり、いつだってべらぼうに高い車になってしまうのだ。キャンピングカーだなんて、手が加えられる場所があっちにもこっちにも、で一体幾らになるのか検討もつかない。
「無理でしょ」
「リアリスト過ぎる」
旦那はむくれた。
「お母さんの夢はなに?」
と旦那が訊いた。
「夢…、子どもがキチンと独り立ちすることかなぁ」
「子どもじゃなくて、自分のこと!何かないの?」
「うーん。痩せて洋服が似合うようになりたい。部屋を綺麗に保ちたい」
「……まぁ頑張って」
旦那はパソコンでキャンピングカーの内装や設備をあれこれ比較し楽しそうにしている。
私はインスタに流れるダイエットの動画をソファに背を預けたまま保存する。
LINEのルームクリップの記事も良いなあと言いながらソファで眺める。
旦那の夢は今のところ金銭的な問題で現実になり得ない。
私の夢は今のところ私のやる気のなさで現実になり得ない。
私の夢よりも旦那の夢の方が非現実的なのに。
旦那は私の何倍も楽しそうにしてる。
…私の夢は取り繕った夢だから、旦那の夢には敵わない。想いの強さも長さも。
夢を持つこと自体が人を幸せにするのかもしれないなあ。
旦那が食い入るようにパソコンでキャンピングカーを調べているのを見て、ちょっと羨ましくなるのだ。
夢と現実
12/4/2024, 2:19:40 PM