《君は今》
その目に誰を映しているのか。
俺には関係の無いことだけれど、そう思ってしまった。
「なぁ、なんで泣くんだよ」
頼むから涙を見せないでくれ、と願う理由もわからない。
幸せだったんじゃないのか。
幸せだと君が言ったから俺は納得したのに。
だから、頼むから泣くな。
「やっぱアイツのせいなんだろ」
君は決して俺の言葉に頷かない。
ただ、あたしが悪いんだとだけ言ってまた顔を伏せるのだ。
なにがあったのかも、なにを感じているのかも答えてはくれない。
それでも、1人にだけはするものか、と俺は隣で座り込んだ。
とはいえ、俺如きが君の傍に居てもなんの役にも立たないことは知っている。
「なぁ、お願いだ。教えてくれよ」
だからせめて、これだけは知りたい。
「君は今、誰を見て、なにを想ってるんだ」
目の見えない俺にとっては、君の話す言葉でしか全てを知りえないんだから。
どうか。
どうか。
君が笑っていてくれますように。
その為の手伝いくらいは、俺にさせてくれますように。
神様、お願いだ。
2/27/2024, 9:41:03 AM