「星空の下」
君は、子供の頃から真っ白なベッドの上で時間を過ごしていた。
親は君を見捨て、お見舞いに来なかった。
学校にも行けなかったから友達も居ない。
ずっとずっと1人で生きていた。
そんな中、君と僕は出会った。
僕は交通事故に遭い、両親が僕を守ってくれたおかげで大きな怪我はしなかったが両親は亡くなった。
一応、怪我はないが検査入院という形で入院した。
そこで君と出会った。
初めて会った場所は星が光り輝く病院の屋上だった。
先客は君だった。
初めて見たのは君の振り向いた顔だけど、その顔を見ただけで僕の心はドクンと音を立てた。
吸い込まれるように、宝石のように眩しく透き通る瞳。
星と月の光で輝き、銀色に染まっている漆黒の髪。
夜風に揺れふんわりと靡く美しい長い髪。
一瞬で引き寄せられた。
「君も星を見にきたの?」
と、問いかけられた。
その声にも驚いた。
硝子のように繊細で透き通った声。
一瞬、神か何かだと思うほどだった。
それから、その夜は一緒に話をした。
いつから居るのか。
どうして居るのか。
など沢山、話をした。凄く楽しかった。
君に「音楽」を教え、一緒に歌ってみたりした。歌は未経験と言っていたが、本当に未経験か疑うほど歌声は君にしか出せないような声で、繊細で透き通った歌声で、昔読んだお話の人魚のようだった。
そのときに僕は知った。
「嗚呼、これが恋なんだな」
それから5年後…
君と僕は結婚した。
君は無事、回復して今は普通に歩けて、何でも好きなものを食べれるまでに回復した。
そして僕は医者になった。君みたいに病気で苦しんでいる人を1人でも多く助けれるように。
君は、歌手になった。
あのとき一緒に歌った曲は僕が作った曲だった。
今は、君が作詞して、僕が作曲している。
こんなに幸せな日々が毎日が続きますように。
あの日見たような星空の下で願った。
4/5/2024, 4:41:39 PM