「おーーーーい!!!!」
外から絶叫が聞こえる。
「まーーたーーねーー!!!!」
小学生独特の甲高い声が、布団から引っ張り出してくれた。あぁ、もう昼近いのか。
じりじりと外から熱気が伝わる。よくこんな暑い日に外で遊べるものだ。
そう考えてふと、歳をとったと自嘲する。自分だって幼い頃は夏休みは毎日が日曜日で、早朝から夕暮れまで外で走り回っていたはずなのに。
「またあそぼうなーーーー!!!!」
窓の反対側から声がする。覗き込むと、ちょうど我が家を中心にそれぞれ左右に20mくらい離れたところに小学生2人がいた。腹から出す声とは、こういうことを言うんだろう。
「きょうのひるめしはー!!らーめん!!!」
「いーなー!!おれんち、ハンバーグ!!!」
おい、飯テロやめろ。腹減ってきた。
朝どころか昨日の夜もろくに食べておらず、昼直近だからか、ぐぅ、と腹が鳴った。
そろそろ飯にするか。ラーメンを作るか、冷凍のハンバーグにするか。いっそ外に食べにいくか?
「まーーたーーねーー!!!!」
絶叫が続く。お前ら今生の別をする兄弟かなにかか。袂を分つのか。ずっと叫んでるな。
「じゃあ、午後は1時集合なーーー!!!!午後もSwitch持ってこいよーーー!!!!!」
午後も遊ぶのかよ。
「わかったーーー!!!!ところで宿題終わったーーー!!!????」
お、まともな返しをした。
もう1人はなんで答える?
「うーつーさーせーてーーー!!!!!!!」
このやり取りの中で1番でかい声だった。
「ばいばーい!!!!!!」
こっちもでかかった。
「はくじょーものーーー!!!!!!!」
俺はとうとう笑いを堪えることができず、大笑いした。そうしたら小学生どもが通報したらしく、しばらくしたら家に警察が来た。『子供をゲラゲラ笑う不審者がいる』ですか。ご苦労様です。はい、笑いました。いや、不審者じゃないです、本当です。本当ですって。信じてください。
【またね】
8/7/2025, 7:34:35 AM