"神様だけが知っている"
これは誰も知らない。ましてや他人前で口にした事も無い。
ハナは、俺と飛彩の間に生まれた子どもなんじゃないかって思ってる。
そんな、方や神話のような、方や伝説のような与太話があるわけが無い。有り得ない。そんな訳が無い。
けどタイミング的に、時々そう思ってしまう。
ハナと出会う数日前、身体を重ねていた。
切れていた事を忘れていて、いつも入れている引き出しを開けて気付いた時俺の身体を気遣って『今日はやめよう』と言ってくれたが『別に平気だから』と食い下がり、そのまま潤滑液のみでやった。
だからハナを拾った時、『まさか』と一瞬過ぎった。
今も視界内に飛彩とハナがいると、そう錯覚してしまう。
大の大人がこんな事、口にできる訳がない。
口にしたのは、誰もいない神社で手を合わせながら小声で言った事くらいしかない。
こんな馬鹿げた事は、墓場まで持っていく。
7/4/2024, 1:17:45 PM