三日月

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何でもないフリ

|澤田美鈴《澤田みすず》は大学二年生で、学校近くの本屋でバイトを始めたところ、一つ先輩で、同じ大学の三年生|歌川龍斗《うたがわりゅうと》と知り合う。

歌川龍斗は細マッチョで、スタイルが良く長身のイケメン、そのため女の子のモテるようで、この本屋は学校の最寄り駅直結のデパートの中にあることもあってか、毎日のように用も無いのに、歌川龍斗先輩のバイト先まで同じ大学の生徒がチラチラとやってきては見て行く。

「歌川先輩は女の子から人気者なんですね、彼女は居ないんですか!?」

ある日のこと、澤田美鈴は、歌川龍斗先輩と付き合いたいという想いがあった訳ではない、それなのに一緒に本を棚に下ろしている最中、ただの興味本位から彼女がいるのか質問していた。

「うん、今は居ないかな…………もしかして、澤田さん彼女いるかどうか気になってたの?」

「歌川先輩があまりにも、モテるのと、バイト中に裏でこっそり告白されてるのを見ちゃったんです、でもその時断ってたので、彼女がいるのかなって思って…………すみません、そんなの確認して」

「別に確認してもらって大丈夫だよ、気になったんだろ…………」

「はい、気になっちゃいました」

「正直で宜しい、そうだね、少し前に彼女がいたんだけど、まだ別れたばかりなんだよ。  だから、未練があるとかじゃなくて今は彼女は要らないかなって思っててね。  でも、澤田さんが気になったのは嬉しかったな、どう、付き合ってみる?」

突然、それもバイト中にそう言われた澤田美鈴は身体が硬直したかのように動きが止り、暫く二人の間に沈黙が続く。

どれくらいの時間が経過したのだろうか、その後、澤田美鈴は歌川先龍斗先輩の目を真っ直ぐに見ると「うん」と首を上下に振った。

こうして二人は付き合うことになったのだけど、ある日のこと、友達から歌川龍斗先輩がSNSで彼女のことを書いているのがあると知らされたのである。

それも、私のことではなく、別の女性で…………。

調べていくと、その女性が元カノだと言うことが分かってしまい、澤田美鈴は動揺し凄く困惑していたので、そんな落ち込んでいる美鈴は友達から、二股のようなことをする彼とは別れた方が良いんじゃないかと説得されることに。

ところが、澤田美鈴は歌川龍斗先輩に依存しているのだろう、別れる何て選択は自分の中になかったので、失いたくない一心で何でもないフリをしてしまった。

そして、二股しているのを容認してしまったのである。

それから半年が経過するものの、歌川龍斗先輩の二股は終わっていない。

それでも、澤田美鈴はまだ別れる決心に至っていないので、先輩が戻ってくることを信じながら付き合っていという。

いつか澤田美鈴が幸せになれますように。

















12/12/2022, 9:07:23 AM