いしか

Open App

奇跡をもう一度、という映画を見た。
よくある、お涙頂戴の作品だなと思ったのが第一印象。
他の人にこんな事いったら、酷いねーと言われるのがオチだから、もし見に行った?と聞かれる事があったのなら、私は見てない、というだろう。


奇跡なんて、そう簡単に起るものじゃない。
だから奇跡なんだ。

いつも奇跡が身の回りにあったら、奇跡という言葉自体が凄く軽いモノになってしまう。
言葉を使うなら、その重さを考えなければいけないと、私は大人になって思う様になった。


「ただいまー」
「あ、おかえり~」
台所から顔を出したのは、私の恋人だ。彼の職業は小説家、言葉を操る人だ。

「映画、どうだった?」
「私はあんまり。お涙頂戴、って思っちゃった」

あはは、そうなんだ。と笑う彼。

「見に行ってみたら?感想聞きたい」
「うーん。あんまり興味ないけど…、うん。行ってみるよ」

彼の作品は、私の勝手な印象では、言葉を大切にしている作品達だ。
彼の紡ぐ言葉は、私を虜にさせる。
私には不思議な魅力のある言葉なのだ。

「はーい、晩ごはん出来たよっ」
「わー、美味しそうっ!早く着替えてくる!」

今日のご飯は和風ハンバーグ。
とってもふっくらしていて美味しそう。

彼の小説の事を考えたら、何だが彼の本が、読みたくなった。
寝る前のお供に、彼の本を枕元に置こう。

彼は嫌がるかもしれないけれど、
今日の私は、彼の紡いだ文章を読みながら、眠りに就きたいのだ。

10/2/2023, 10:12:01 AM