22時17分

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「どこへ行こうというのかね」

サングラスをかけた一般金髪男性は言った。
……というのを思いついたのだが、明らかに筆に馴染まないので空から投げ捨てた。目元を手で覆い、名シーンを彷彿とさせる。何か戯言を呟いて、眼下の大海へ堕ちていくのだろう。
なんてことはない。この人をプラモデルか何かだと見れば、感情論は身体の中で抑えられる。

さて、僕はどこへ行こうかな。
すべきこと、やりたいことはあるけど、操舵手を引き受けた割には行きたい場所、会いたい人はいないかも。
風光明媚の眼下を見るに、今は太平洋の上空だ。時々小群の島々が小さく見える。
ずっと上昇気流に乗っている。
それはとても良いことだ。しかし、どこかで平行にならなければ、この飛行船は宇宙船にならなければならない。それは、死を意味したり、一種の精神生命体に昇華することになる。それだけは嫌だ、と舵を掴もうとした。しかし長い間、そのままになっている。

4/23/2025, 10:41:26 AM