君と一緒に
「君さぁ……たまには小洒落た服でも買ったら?」
「なんでだ」
「一応、私が隣歩いてんだからさ……」
ショッピングモールは大盛況、子供たちがお年玉を使いにやってくる。そんな中で、柄もない灰色のパーカーにズボン。まあよくある感じではあるが、生憎隣の私はロリィタ寸前の量産服。釣り合わないにもほどがある。
「本なかった分お金余ってるでしょ?」
「その分貯金が増える。今服なんか買うよりいつか見つけた本を買うほうがよっぽどいい」
まあ、それはそうなんだけど。欲しくないものにお金なんか使いたくない、それはこっちだって分かってる。君は着飾ることは好きではないものね。
「それ、妹ちゃんに言われても同じこと言える?」
「あいつはそんな事言わない」
「…………そうだね、言わない」
全く、このシスコンは妹のことを信じて疑わない。そして妹もそんな兄を信じて疑わない。無理なことを言わないのは二人に共通する長所だ。
「じゃあ分かった、私が買ったげる」
「お前金ねえだろ、変な事に使うな」
「いいじゃん、カッコいい人の隣を歩きたいな〜」
「……まあ、勝手にしろ」
「よーし!とりあえずあっちのお店だ〜!」
やっぱり、君はいい。私のやりたい事を咎めない。興味がないだけかもしれないけど(妹には過保護なシスコンだからね)、私にはそれが心地よい。ショッピングは、気の合う君と一緒に。
1/6/2025, 11:02:05 AM