27(ツナ)

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キンモクセイ

秋を感じるひとり旅へ出かける。
公園は山吹色に輝く銀杏並木に枯葉の絨毯。
暖色に染る景色に安らいでいると、不意に甘くてさっぱりした香りに誘われた。

彼女は僕なんかには目もくれず目の前を去っていった。
ほんの一瞬。
一瞬だったけど、とても印象に残る香り。
学生の時分に僕が焦がれたあの子も同じ香りを纏っていた。

キンモクセイ。
それは"初恋"の香りだった。

11/4/2025, 10:48:54 AM