「なぁ、楽園って知ってるか?」
「そりゃ勿論。想教のデッカい木のことだろ」
とある国の、とあるカフェで。
そんなことを話す住民が二人いた。外に設置された机と椅子とパラソルが、静かに会話を聞いている。
「噂によりゃあ、想祈(想い)の神は、今でも楽園の中で眠っているんだとよ!」
「おいそりゃないだろ。流石に世界と一体化してるさ」
「ロマンがねーな兄弟!夢を持って生きようぜ!?」
「夢よりも、今の充実した暮らしを守りたいね。女帝様の国は、他の国よりも安定しているし、商業も盛んだ。想いもあまり困らない」
現実を見ている住民と、夢を見ている住民の声は、近くの道を通り過ぎる通行人の耳にも入る。
その中の一人が、ニヤリと笑った。
「おやまぁ、嬉しいことを言ってくれるではないか」
「あれ?今、なんか言ったか?」
「いーや何にも。どうした兄弟?」
「なんか、女帝様みたいな声が聞こえたんだが」
「まっさかー!そんなことないって!ほら、食べたかったパフェを、さっさと注文しちまおうぜ!」
ニヤリと笑った人物は、そのまま歩みを進める。
大きな城へと、一直線に。
お題『楽園』
想祈の神 想いを司る神 想教を作り上げた存在
世界と一体化
神になった存在は、やがて世界に溶ける。
意思や感情はなくなり、その想いだけが世界に記憶される。
4/30/2026, 1:48:02 PM