∮梨
梨雪という言葉がある。
その青白の美しさは数多の人々を癒すという
彼女は梨雪だった。
そのかたちを観た者はもれなくその瞳に吸い込まれる
その儚さに恋焦がれ、誰彼もが彼女に手を伸ばす
遂には皇帝までもを虜にしてしまった。
彼女は「霜眉」と名を与えられ、たいそう愛された
また霜眉も皇帝の傍を離れなかった
国中が両名の未来と自らの豊かさに祝福を捧げた
「霜眉、おいで」
愛おしくて堪らない彼女に皇帝は手を広げる
「ミャオ」
ご機嫌な様子で真白な眉としっぽを動かし、
今日も彼女はその大きな手に包まれに行くのだ。
10/14/2025, 3:41:34 PM