羽化

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「あの子たちはもう戻ってこないって、頭では解っています。わかっては、いるんですけど…」

「………」

「…わたしにはもう、なんにもありませんから…」

そういって、彼女はにへ、と笑ってみせた。
過ぎ去った日々に縋ることしかできない。幸せな夢を見続けることしかできないのだから。私たちは。

ひどく無機質な白い部屋。
そこには、哀れな人間が、ひとりいるだけだった。

3/10/2026, 9:58:04 AM