またどこかで

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「おーーい!いい景色だぞ!おいでよ!!」
声がする方に目を向けると
ジャングルジムの頂上にいる彼が見える
『無理だよ!怖い!!』
怖がりの私は2段ぐらい登ったところで
怖くなりその先登れなくなってしまう




「おい、さすがにもう登れるだろ。登ってみようぜ」
あれから月日が流れ私たちは20歳
地元の公園で彼に言われる
『落ちそうになったら助けてよね』
少し怖いが強がって登ってみようとするが
手足が震えてうまくのぼれない
そんな私を見て彼が手を伸ばしてくれた
「ほんとビビりなの変わらないよな」
バカにした言い方をしているが
なんだかんだ助けてくれる彼
『うわぁ!結構高いんだね』
頂上に初めて登れた私は少し感動していた
あの時登れず見れなかった景色はこんなものかと
「昔と景色変わってないなぁ」
隣でそんなことを言う彼

長い間ずっと一緒に過ごしてきたけど
初めて一緒にすることもある
お酒を飲んだり、ドライブに行ったり
子どもの時には全然想像つかなかったなぁ
この先もずっと2人でそういう思い出を
作っていくんだろうなと思っていた。

「なあ。俺お前と幼なじみでよかったなって思ってるよ
だからこれからも幼なじみとしてよろしくな
俺彼女できたんだ、一個下の後輩。」



私はその言葉を発した彼の横顔を
一生忘れることができないだろう。





ジャングルジム

9/23/2022, 10:47:39 AM