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「木枯らし1号だって、もうそんな季節かあ」

彼が放った他愛もない一言が
暖かい部屋の中で寛いでいた私の意識を、
木枯らしが吹くあの光景へと連れていった

落ち葉がカサカサと音を立てる中、
私の乾いた手からあの人の温もりが離れた時のこと
木枯らしに吹かれて痛む頬の冷たさは
どれだけ体が温まっても忘れることが出来ない

私の骨の髄まで染み込んだあの冷たさは
私が幸福になろうとする度に
じわじわと
髄から表面の皮膚まで侵食し、
忘れるなと言わんばかりに常に私につきまとう

そんなに主張しなくても
私があの人を忘れることなんてないのに


「手冷たいね」
私の冷たくなった手を握った彼が
幸せそうに笑んでいる


私はさりげなく彼の手を離し、
目をつぶって
木枯らしのあの日、
私の手から離れていった温もりを感じていた

1/17/2023, 12:27:27 PM