スーパーの入口に大きな七夕飾りが設置されていた。
そういえば、数日前に君が話してたっけ、と何の気なしに立ち止まって、揺らめく笹の葉と色紙で作られた見事な切紙細工を見る。
空調の風を受けてヒラヒラ揺れる短冊には、見知らぬ誰かの願い事。
すぐそばのサッカー台には『ご自由にお書き下さい』と書かれた箱、中には色とりどりの短冊と油性ペンが少々乱雑に入っていた。
来た目的も忘れて七夕飾りを暫く眺めていると、見覚えのある筆跡。
“ダイエット成功しますように!”
短冊からはみ出さんばかりに書かれた願い事に名前はなかったが、確実に君のだろう。
無理して倒れるなよ、と君の顔を思い浮かべて苦笑い。
せっかくだから自分も何か願い事でも書こうか。
箱から取り出した黄緑色の短冊に、キュキュッとペンを滑らせていく。
“タイムセールに勝つ!”
よし!、と短冊を笹に付けようと腕を伸ばせば、タイムセール開始を告げる鐘の音がカランカランと鳴った。
テーマ「七夕」
7/8/2024, 6:33:54 AM