明日への光
鏡を見ると、自分だろうかと疑問に思う。
俺はこんなにも、自信が無さそうに見えているのかと。もう少しだけでも自信家のように見えていて欲しい。
『お前はもう、自信家だろ』
きっと誰に聞いても、こう返してくる。
そうじゃない。そうじゃなくて、どうしてこんなにも瞳の奥が辛そうなのだろうか?
「俺様は……おれ、は」
段々と鏡の中の自分の顔が崩れていくのがわかる。幻覚であって欲しい。けれど、目眩よりも酷いなにかが、どんどんと俺のことを襲ってくる。
自分の顔に急いで水をかける。冷たい水のお陰で、崩れていくのは収まった。
「くまたん!」
「ん、あ、ああ、……爺さん、どうした」
「ローブ、忘れてるぞ」
自分の格好を見るために、鏡をもう一度だけ見る。
いつも羽織っているローブは、何故かなかった。その代わりに、禽次郎、爺さんの手元にそれはあった。
急いで駆けつけて、急いでローブを羽織る。そうしないと、さらに自信がなくなりそうだったから。
「……ありがとう」
目を合わせられずに、目を逸らした。しかし爺さんはそれを許してくれるかのように、俺の肩に手を乗せる。
恐る恐る爺さんの姿を見てみると、普段通りの若々しい、高校生の姿の爺さんだったのに、俺よりも年上のような余裕のある表情をしていた。
「じゃ、僕は帰るから」
何か言いたげではあったが、それを押し殺すようにして爺さん、禽次郎は去ろうとしていた。
「き、……爺さん!」
「ん?どうした?」
「今……俺は自信があるように見えるか?」
「ああ。そのローブがなくなって、くまたんはいつも自信に満ち溢れているな」
なんの間もなく、禽次郎はそう答える。
「大丈夫だ。自分を信じてみろ。きっと自分という存在が光になるさ」
そう言うと禽次郎は部屋から去っていった。
俺は急いで鏡の前に立つと、辛そうな瞳をしている自分でさえも自信の一部だと思えた。
右手を強く握り、鏡の自分を見る。
「……それで、それでいい」
ずっとそうしとけば、明日への光は途切れることはない。
そうだろ。
「そうだなあ。そうさ、俺様が誰よりも輝く光だ」
高々しく口角を上げて、自分に言い聞かせる。
12/15/2025, 12:51:32 PM