千歳緑 (※お題一日置きスタイル)

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子供のままで



 クリームソーダは大人の飲み物である。

 …はい、言い訳をさせてほしい。



 幼少期は裕福ではなかった。貧乏でもなかったが、まぁプレ○テやロ○ヨンで盛り上がっている時代で、兄のお下がりのスーファ○で遊んでいたぐらいだ。

 外食ぐらいはしていたが、飲み物はいつだってセットでついてくるヤツ。コーラやソーダ水はあっても、そこにアイスが乗ることはない。

 ごはんがメインなので、あくまで飲み物であるクリームソーダをランチ一回分、下手をすればそれ以上の金額で頼む余裕は経済的になかったのだ。

 それが悔しいと思うことはなかった。成長期だったこともあり、腹を満たすモノが優先だった。



 自分にとってクリームソーダは、余裕がある大人のモノなのだ。



 だからか、初任給(だったかは正直覚えていない)の入った封筒から直接出した金で、透明なソーダとバニラアイスを買った。メロン味は見当たらなかった。

 暑い日の夕方だった。生温い空気の中、家で一番デカいガラスコップに氷を入れた。カレースプーンで上手いこと丸くアイスをすくって、その氷の上に乗せた。

 浮かんだ、という感じではなかった。氷で中がみちみちだったはず。

 少し待って、シャリっとしたアイスと氷の間を、これまたカレースプーンでつついた。

 シュワシュワの無色ソーダは澄んだ味がして、甘さと冷たさが熱った顔の舌に染みた。



 大人の味だ。自分で稼いだ金で、子供の頃の夢を叶えたのだ。

 ずいぶん前で、特別でもなかったはずなのに。

 忘れられない味になった。

5/13/2026, 1:28:51 PM