烏羽美空朗

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気の赴くままに歩く日々の中、美しい物も醜い物も別け隔てなく拾い上げていく。それらが自分に与えてくれる感覚を頼りに、余すことなくポケットサイズのノートに書き殴った文字列。
ふとした時に引っ張り出し、パソコン内で辛うじて読める文章に変換していく。そこから何度も何度も言葉そのものや順番を入れ替え、時には新しく付け足したり、完全に取っ払ったり、拘りやなんとなくを織り交ぜながら、その時の自分の全力を書き出す。そして最後に納得した作品を原稿用紙に書き写して、俺の執筆活動は完了する。

何度も何度も繰り返してきた過程の中で、俺は毎回思うことがある。

何かが、足りない、と……。

勿論、技術や知識は一生を賭けても完成することはない。だがそうではなく、もっと根本的な…………「想い」というか、「熱量」と言うべきか。とにかく、作品を作る上で欠かせない物が、どうしても足りていないのだ。それは何なのか。それが分からなくて、ずっと悩まされている。

「独特で幻想的だ」「考察のしがいがある」「なんかかっこいい」などといった感想が読者からは聞こえてくるが、それはつまり「すんなりと理解できない」「単純な面白さがない」「お硬い話」と同義でもあるわけで。「わからないけど面白い!」と言ってくれる人もいるのだが、それはそれで俺にとっては不甲斐ない気持ちになる。

読者に伝えたいことが伝わらない物語など、書く意味はあるのだろうか。そもそも、俺の中には伝えたいことなんてあるのか?

……あぁ、だめだなこれは。こういう時はいつもこうなる。ネガティブ思考が止まらなくなる。考えれば考えるほど泥沼にはまっていき、やがて底無しの暗闇に放り出されるような気分になってくる。

俺の伝えたいことは、何だったのだろうか

それは、どうやって見つけるのだろうか

どうすればいいの?

11/21/2022, 12:24:13 PM