イオリ

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目が覚めると

 前日のサークルの飲み会のせいで、大学には午後から行く羽目になった。頭が痛い。

 加えて、年老いた名誉教授が念仏のようにつぶやいている。

 必然、僕は夢の中へ。


 目が覚めた。時計をみると、20分程寝ていたらしい。まだまだ念仏は続いている。起き上がると頭に加えて首にも痛みが増えた。やれやれ。

 目が覚めてしまってはしょうがない。とりあえず広げていたノートに焦点を当てる。

 あれ?なんだこれは。

 左右見開きページを、鉛筆で書かれた右向きの矢印が横断している。自然と矢印を視線で辿る僕。

 並んだ矢印は右のページを越えると、長テーブルの上にも続いていた。ぼんやりした頭でその先を追う。

 空席上の矢印を越え、視線が終点にたどり着く。

 2つ隣の席の女子が小さく手を振る。待ってましたとばかりに、自分のノートをめくって笑顔でこちらに見せた。

 おはよう よだれついてるよ

 そこにはそう書かれていた。

 僕は慌てて口を拭った。彼女も飲み会に参加していたはずだが、僕よりはアルコール耐性があるみたいだ。

 まだ数回しか話したことなかった僕に、なんでこんなことできるんだ、と思った。

 でも悪い気はしなかった。

 

7/11/2024, 2:22:33 AM