周りにとけ込めない女の子

Open App

20.手を繋いで


「お前ん家、おっばけやーしきー!」
君の耳元で叫んだ。君は何も反応がない。
いつものことだ。僕は死んでいるからね。
それはそうだ。っと肩をすくめて笑った。
僕は君の横顔を見る。前は恥ずかしそうに
「やめてよ。笑」って言っていたのに今はこんなに
近づいてもこっちを見ることはない。君に触れたくて
手を伸ばしてもすり抜ける。
わかっていることだが、やっぱり悲しい。
君は夜になると泣いていた。僕のことでね…
僕はいつも優しく声をかけてあげていた。
いつか君に声が聞こえると信じて
「いつも君のそばにいるよ。君を見守ってる。」
君は泣き疲れたのかそのまま寝てしまっていた。
僕は君をできるはずのないハグをして。
できるはずのない君の手を握った。
「もう一度、生きてる時に手を繋ぎたかったよ。」
と、僕は涙を流していた。

12/9/2023, 2:30:23 PM