『プレゼント』
「こんなゴミ、要らねぇよ。」
目の前で捨てられた僕が用意したプレゼント。
彼は中身を見て、ポイッと捨てた。
今日はクラスメイトで集まり、プレゼント交換会をすることになっていた。
「酷いよ!ゆうきくん。
せっかくれんくん用意してくれたのに。」
「ゴミなんか要らねぇ。
というか、誰だよ。こんなこと企画したやつ。
お前ら全員知ってるだろ?こいつがまともなもの用意できないって。」
辺りはシーンとした。
「どうせ、貰ったやつはこいつのいねぇ所でグチグチ文句言って、陰口言って、自分はこいつよりかは上とかそういう強者感を味わいたいだけだろ。
悪いが、俺はそういうのが大嫌いなんだ。」
彼はそう言い、要らないとか言いながら、僕のプレゼントを拾い上げ、その部屋を出ていった。
そして、1人の子が「ごめん。」と僕に謝った。
それに続けてたくさんの人が僕に謝った。
けれども、初めて知ったこの人たちの裏の顔。
僕は到底彼女、彼らのことを信じられなかった。
僕のことをそんなふうに思っていただなんて、僕は悔しかった。
僕を育ててくれた母親を恨み、ギャンブルに明け暮れるだけ明け暮れ、蒸発した父親を憎み、何より、大好きな母親を恨んだ自分が嫌で、ぐちゃぐちゃの感情になった。
そして、僕はその場を何とか誤魔化し、用事がある。と、彼らと別れた。
だが、その部屋から出た瞬間、涙が込み上げてきた。
近所の人の少し大きな黒い上着を握りしめ、僕はうずくまった。
「………男の癖にメソメソすんな。
ムカついたなら、殴ればいいだろ。」
「………ヒック………。
僕、そんなに、強くないもん。」
「ならずっと一生泣いてるんだな。」
「………っ。」
「嫌なら変われ。
………さっきは悪かった。
これ、やる。」
そう言い、彼は僕に近くの自販機で買ったであろう暖かいコンスープを渡してくれた。
「メリクリ。」
彼は優しく微笑み、白い息を吐きその場を離れた。
コンスープの温かさと、彼の本当の心の温かさで胸がいっぱいになった。
僕は、1口1口大事にコンスープを飲んだ。
その時間は何とも幸せだった。
「お前、ほんとコンスープ好きだよな。」
僕はあの日から、彼とよく行動することになった。
「そう?」
「あぁ。冬ならまだしも、夏までそんな暑いのよく飲むな。」
「うーん、これ飲むと、落ち着くっていうか……?」
「は、なんだよそれ。」
彼は目を細め、口角をあげ、ニッと笑った。
その瞬間、僕はドキッとした。
きっと少し顔が赤くなっているのはコンスープのせいだ。
12/23/2022, 12:25:38 PM