とある恋人たちの日常。

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 出張修理に呼ばれて会社のメンバー数人と依頼された病院に車で向かっていた。
 
 信号が赤になりゆっくりと車が止まる。
 早く行ってあげたい気持ちにもなるし、私も早く行きたい。
 
 私の恋人は今から修理に向かう病院に務めているから、仕事をしている彼を少しでも見られたら嬉しいと思ってしまった。
 
 彼の邪魔になるから〝会いに行く〟なんて出来ないけれど、ちょっとだけ見られたら、それで良かった。
 
 くんっと身体に重力がかかる。信号が青になって社長が車を発車させていた。
 
 慣れた街並みを横目に病院に進んでいく。
 
 病院の車両を修理するから、気軽に会えるわけじゃないけれど、彼と同じ場所にいられるだけでいい。
 
 家に帰ればいつでも会えるけれど、職場でちょっと見られる姿は少し特別だよね。
 
 車がゆっくりとスピードを落として止まる。
 早く病院に行って修理したいのに、中々進めさせてくれない信号を、思わず睨みつけてしまった。
 
 
 
おわり
 
 
 
四七七、信号

9/5/2025, 2:38:06 PM