郡司

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愛情

私の住処のすぐ近くに、天才がお店を開いた。シフォンケーキの天才が。感動的なおいしさのシフォンケーキを食べては友人に知らせようかと思う一方、あまり大人気になってしまったら手の届きにくいことになってもイヤだなどと考えてしまうほど、そこのシフォンケーキは美味だ。

これまた近くに、コーヒーとチョコレートを組み合わせる天才もお店を開いている。「これがショコラというものか…!」と毎回思うし、コーヒーの香りとチョコレートの甘さは、幸せ感を確実にもたらしてくれる。とにかく、他ではありつけない素晴らしいショコラなのだ。

少し離れた場所に、全く美味なブルーチーズを作っている牧場がある。私は海外の有名ブランドのブルーチーズはすごく苦手なのだが(冷蔵庫ごと腐敗したのかと疑うほどの臭気)、そこのブルーチーズは白飯のおかずに好適。牧場のお母さんはバニラアイスにトッピングも美味と教えてくれた。臭くなくて美味なブルーチーズを作っちゃうなんて、天才だ。牛たちもすごく元気な牧場である。

何て名前のお店で場所は何処、などとナイショにしておきたい、天才達の拠点である小さなお店。どれもみな、若き主の夢と愛情が咲いている。断言しよう、高価過ぎる有名ブランドのどれも、この天才達が生み出す美味の足もとにも及ばぬと。

美味の理由は愛情なのだ。工場生産品ではムリな美味なのだ。時々、自分を元気にするために、彼らのワザに込められた愛情をいただく。

11/27/2024, 7:05:59 PM