せつか

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見上げると青すぎるほどに青い空が目にしみた。
一月も半ばだというのに今日は妙に暖かい。
マフラーやコートが少し邪魔に感じるくらいだ。
汗で首筋に張り付いた髪を鬱陶しく感じながら、繋いだ手の先の我が子を見る。
五歳になったばかりの娘の頬はりんごのように真っ赤になっていた。
「暑い? マフラーはずそっか?」
ぷるぷると首を振る。
娘はウサギが横に伸びた形のそのマフラーをいたく気に入っていて、冬になるとどこに行くにも巻いている。しかしこうも暖かいと流石に暑いだろう。
「お顔真っ赤だよ? 暑いでしょ。ママも暑いからコレはずしちゃうけど」
娘はやっぱりぷるぷると首を振る。
まぁ、少し暑いくらいなら大丈夫だろう。帰ったら汗をよく拭いてすぐに着替えさせればいい。
「うーちゃんと一緒に帰るの」
うーちゃん、と言うのはそのマフラーにつけた名前だそうだ。娘にとってそのマフラーはぬいぐるみと同じように大事なお友達なのだろう。
「そっか。じゃあ仲良く一緒に帰ろうね」

結婚して、娘が生まれて、離婚して。
いつの間にか私は娘と二人きりになった。
――私の大事なお友達はどこに行ったのだろう。
忌々しいほどに青い空を見ながら、ふとそんな事を思った。


END


「冬晴れ」

1/5/2026, 4:12:50 PM