kira

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『空が泣く』

雨が降る様はしばしば「空が泣く」と表現されることがあります。「今にも泣き出しそうな空」みたいな歌詞が誰かの曲にあった気がします。「空の機嫌が悪い」とかも言われるし「涙雨」って言葉もありますね。
空から水が落ちてくる。その光景を見て泣いてるようだと感じた人は、きっとそこに自分の気持ちが重なったんでしょうね。
自分が明るく元気で前向きな気持ちなら、空にも晴れていてほしい。できれば雲一つない快晴であってほしい。けど自分が落ちてる時は、空にもどんよりしていてほしい。なんなら雨が降っていてもいい。
こういう時に抜けるような青空を見ると、自分のテンションとかけ離れすぎてて辛くなるから。

空には自分の気持ちと同調しててほしいと思ってるんでしょうね、たぶん。
こっちの勝手な願いですが、それに空が応えてくれることもあります。そう思える時がある。元気ない時に優しい雨が降ってきたら、なんとなく自分に寄り添ってくれてるような、空から誰かが見守ってくれてるような気がします。
雨降りのあのサァーッ…ていう音が結構好きで。
なぜか癒される、自然のシャワーが地面を叩くあの音。暗い自分の心にスーッと入ってきて沁みてくる。このまま何時間も聴いていたいと思う。自然がくれる癒しに身も心も委ねて、気が済むまでずっと。
余談ですが「沁」という字、さんずい偏に心って書くんですよね。この成り立ちの由来が雨だったらなんか素敵だなと、今これ書いてて思いました。

雨は生活のためにも経済活動のためにも必要不可欠なもの。なのに何かと疎まれる存在でもあります。
傘やらレインコートやら持ち物は増えるし行動も制限されるし予定も変わるし、多少なりとも服は濡れるし。靴も選ぶし。その日に新品のカバンとか初出ししてたらそれこそもう心の中で泣きますよ。ますます雨が嫌いになる。
歩道を歩いてたら車が水たまりの水をはね上げて濡らされたことも。腹立った思い出もありますわそりゃ。

空の大号泣はさすがに困るし人間は太刀打ちできません。それでも、そこまでいかない程度の涙なら救われることもある。

お天気雨に遭遇したことがあります。
雲は出ていたものの青空も見える明るい空から突然に。傘は持っていませんでした。帰り道で、家まであと少しの所まで来ていたから雨宿りもしなかった。一応ハンカチを頭に載せて早足気味に歩きました。
普段見る雨は曇り空から落ちてくるからなんとも思いませんが、その日明るい空から落ちてきたそれは、キラキラしていてとても綺麗でした。冬のイルミネーションでよく見るような、上から下へ雫が流れ落ちていくあの感じ。雨粒が陽の光を反射して輝いていました。
お天気雨ってこんなに綺麗だったのかと思うと、苛立ちを感じていた自分の心がすっと晴れていきました。
後から調べてみると、お天気雨は縁起が良いものとされているそうで。発生頻度があまり高くない上に、仮に発生していたとしても自分が遭遇する確率は低く、珍しい自然現象だということです。
しかもこの日は私の誕生日でした。そんな日にこんな綺麗な縁起物を見せてもらえて、勝手に天から今年一年の幸福を約束されたような気になってましたね。単純ですねえ…笑
結婚式の日に雨が降るのも縁起が良いって聞いたことがありますね、そういえば。

きっと人それぞれ雨にまつわるエピソードってあると思います。それを聴いてみたくなった今回のお題でした。

9/16/2023, 2:14:03 PM