木弓るん

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「ごめんね」

暗闇の中、寝顔の輪郭をなぞる。
起きる気配はない。
起きてしまわないように、薬を盛ったのは自分だ。

永遠に守る。共に行く。

その言葉は、とても嬉しかったけど…
一緒に行くことはできない。

最期に、一瞬だけ口づけて。
名残惜しい気持ちを断ち切る。
後はもう振り返らない。
許されないとわかっている。
聞こえないとわかっている。

それでも、その言葉を口にする。

「ごめんね」

5/29/2023, 10:19:19 AM