羽化

Open App

バイバイ


彼女はわたしのすべてでした。

白い肌
透き通る声
赤い林檎の様な唇

優しい心
和やかな世界

彼女はよく寒いと言っては
わたしの上着を着ていました
彼女の体温が氷のように冷たいと知りました

このまま彼女はどうなるのだろう
複雑な感情を抱えて
階段をあがります

一緒にシチューを作っては笑い
食べて泣き
たくさん一緒に大人になりました。

そうやって毎日が過ぎていき
ある日、彼女が上着を着ていない事に気付きました

そう、わたしの上着がなくても
もう大丈夫なのです
冷たい峠は超えました

彼女は笑顔で走り抜ける

新しい世界へと

冷たい世界とはちがい
そこは大勢の仲間がいて
桜が満開の世界だった

「バイバイ」

「ばいばい」

祝福のバイバイ
生きて行く道はちがうけれど
彼女の幸せを祈っています。

いままでありがとう。

2/2/2025, 12:19:02 AM