ポロニ

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隠された手紙

世界線はa21(世界線というのは気にしないでください。単品でも読めるようにはしています。)




僕は今日、愛おしい人に手紙を書いています。
内容は僕の気持ちを書こうと思っているんだけど、全く完成しないんだ。
僕の気持ちを書いているといつの間にか何十枚も書いちゃって、こんなに大量の手紙を渡す訳にはいかないから短く書いてみたんだけど···次はなんか足りないような気がして···それで何回もやり直してたら1000枚入りのレターセットが全て無くなってしまった。
手紙1つ満足に書けない自分が情けなくて、机に突っ伏す。
あぁ、なんてダメなやつなんだ。僕はノミ以外だ。
でも僕は諦める訳にはいかない。
すぐに百均で1000枚入りレターセットを6個購入して家に帰る。そして1週間かけてようやく、完成した。レターセットは殆ど使い切ってしまったが、満足いく物が出来上がった事が嬉しい。
僕はその手紙を見つめる。
本当はこの気持ちを伝えられたらどんなにいいか

でも僕なんかが彼女に想いを伝えるなんておこがましいのだ。この手紙は大事に保管する。気持ちを書いたということが重要なんだ。手紙は大事に保管する。鍵付きの棚の中にしまい、鍵を閉める。
そして前を見る。一面にある彼女の写真を見ながら彼女の家に仕掛けた盗聴器から彼女の寝息を聞く。

「···ふふ、よく寝れてるね。···僕が君を守るからね」








こんな気持ちは鍵を掛けてしまえばいいのだ。


あんな気持ちを書いた手紙なんて隠してしまえ。










そう思うでしょ?

2/2/2025, 10:29:47 AM