未知亜

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 地を這う低音に白旗を上げ、座席を降りた。しばし立ち止まって音の出どころを探ってはみたものの、等間隔に並ぶ毛布の群れのどこからそれが響くのか特定はできなかった。もちろん、特定できたところで他人が起こすわけにもいかず対処法はない。

 トイレを済ませ、ベンダーコーナーを兼ねる階段脇の窓を覗く。切れ間なく続くオレンジ色の街灯が次から次へと近づいては遠ざかっていく。後ろへと過ぎるだけで戻れない時間の中を、バスはひた走る。

 気づけばいびきの音が止んでいる。東京まであと五時間。自席に戻ってヘッドホンの音量を下げると、夜の真ん中でまた毛布に潜り込んだ。

『ミッドナイト』

1/27/2026, 9:51:00 AM