玄関から出たら土埃の臭いがした。
これから始まるのではなく終わった気配だ。
俺は折り畳み傘を仕舞い、市街地まで歩き出した。
高く昇った太陽も今は目も当てられない。
視界が濁る中、白や赤の人工の光が脳を揺らす。
前をじっと眺めていると、俺は目を見張った。
鮮やかな化け物がいる。
やがてそれが集合体だと分かった。
緑の中にまばらに在る青や白は、花だ。
それがお前の本当の姿なのか。
一息ついてまた歩き出すと、水溜まりに靴を沈ませた。
泥水の中で、綻んだ顔が映っていた。
いつしか雲間から光が差していた。
6/13/2024, 1:20:46 PM