はらりはらりと音も無く、美しき白い雫が頭上から舞い落ちる。そして、足元には幾重にも広がり続ける、薄桃色に染まった柔らかい絨毯が敷き詰められていた。
ふと見上げると、眩いほど青過ぎる世界が果てしなく続いている。
世界から切り離された私の時間は、重たく纏わり付き、ゆっくりと悠久であり続けていた。
そっと頬を慈しむように、優しく撫で上げるような暖かな風が過ぎていく。
「心配しているなら……側にいて、嘘つき……嫌い……大嫌い……」
止め処なく溢れ続ける涙は、何年経っても枯れることはない。呪詛のように吐き出す言葉は、落ちていく花弁と共に地面に吸い込まれていく。
私にとって、この世で一番残酷な……大好きだった花を見つめ続けた。
『桜散る』
4/17/2024, 4:54:27 PM