hikari

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手を繋いで

私はいつだって都合がいいから、神様に祈る。
私の寿命、5年渡すから、私の飼い猫の一生を長生きさせてください。5年以上でもいいなら、もっと。

私の家の猫は、心臓が一回り小さく産まれてきた。
大型猫のメインクーンなのに、一般的な猫よりも小さい。小さな心臓はトクトクと早く鳴り続けている。
私はその心臓の近くに耳を置いて聞く。
もし、心臓が鳴る回数が決まっているならば、
できるだけ、できるだけ、ゆっくり動いてほしい。
その最後の回数に辿り着くまで、できるだけ、ゆっくり。

お互い言語も違うから、何を思っているのかわからない。だけど、いつも鈍臭くてビビリなくせに、悲しい時はいつも、体の一部をぴたりとくっつけてそばにいてくれる。たった3キロ弱しかないその重さに、私は幾度となく救われてきた。

心地よさそうに伸ばす小さな肉球のついた手を、指先で触る。再び心臓の音を確かめるように、耳を近づける。

神様、私の寿命あげるから、もう少し一緒に居させてください。

トントントンと音を鳴らす心臓とその体温を、私は忘れぬように、確かめるように、精一杯感じた。そして、小さな肉球に、私の命が移るように、叶わぬ願いを込めて、握った。

12/9/2024, 4:05:46 PM