「それ、欲しいの?」
「うーん、欲しいんだ、けど……」
唸るような声を出す君が目にしているのは、うさぎの置物。ぴんと耳を立ててちょこんと座っている。この前君が買っていたぬいぐるみもこんな感じだったような。
「あー……結構高いね」
「だよねぇ。でも、すごい可愛いし……」
「……僕が粘土買ってこれと同じくらい可愛いの作ろうか?」
「えぇっ!?すごい不器用なくせによく言うよー」
冗談だよ、と言ってくすくす笑い合う。少し悩んでから君は、踵を返しその場を離れて。
「やっぱりいいや」
そう言っているが、表情は欲しい、と言っている。分かりやすいなぁ。
君の事をついつい甘やかしてしまうのは僕の悪い癖。惚れた弱みというやつである。でも、君の笑顔が大好きだから。
僕はその置物をレジへと持っていった。
(目にしているのは)
7/15/2022, 9:58:04 AM