罵詈雑言を浴びせる母が憎かった。母の拳が恨めしかった。死んでくれたらと願っていた。母の居ない世界の夢を見ていた。いざその時が来たら、遠い昔の記憶が脳裏に過った。蚊の命ほど儚いその記憶は、今もなお暖かかった。憎く、恨めしい。それでも愛おしかった。私は確かに母を愛していた。好きなわけが無いのに、死を望んでいたはずなのに。それでも嫌いになれなかった。【テーマ:好きになれない、嫌いになれない】
4/29/2025, 2:09:41 PM