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お題:心だけ、逃避行

遠く澄んだサンプル画像みたいな空のふちは少し白さを帯びていて、そこに酷く憧れてしまった。
その上を見上げれば恐ろしく深い青で、綺麗なのに底の見えない海のようで。
そんな恐ろしいところ飛び込めるわけがなくて。

ずっとは陸で生きていけない。どうせ明日からまた、海に沈まないといけない。
優雅に泳いだり、鳥になって飛ぶ人には惨めさがなくて羨ましい。その勇気と術は私にない。
小さい頃、周りよりとろくて泳げなくて焦って、時間が流れるのをただ待っていた夏のようだ。
空と海の色は同じだ。海の深い青にも、呑まれたくはない。

その中で沈んでいった魚のおかげで、海の香りは好き。
私は沈むと怖いから、割と長い間、空を見ていたい。

7/12/2025, 2:23:41 AM