たーくん。

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昼休みになると同時に、腹ペコ生徒が集まる学校の食堂。
今日はいつもの日替わり定食にしようと思ったが、たまには冒険するのもいいだろう。
パン売り場へ行き、“今日のパン“は何を覗く。
今日のパンとは、余った食材とパンを組み合わせて作られた、食堂のおばちゃん手作りのパンだ。
だが、噂ではめちゃくちゃ不味いらしい。
まぁ、冒険するにはもってこいのパンだろう。
今日のパンは、見た目は揚げパンで少し大きい。
俺は一つ購入し、空いてる席に座り、早速袋を開けて一口食べる。
「う“っ“!」
思わず変な声が出てしまう。
噛んだ瞬間、じゅわっと何かが溢れ、一瞬で口の中が洪水になる。
なんだ……これは……。
「聞いたか?今日のパン。揚げナスパンだってよ」
「聞いた聞いた。パンに揚げナスを包んで、更に揚げたパンだってな。油まみれで食べれたもんじゃないよな」
「揚げただけに、上げ上げ~なんてな」
背後で男子生徒達が笑いながら通過した。
……どうりで、口の中が洪水な訳だ。
吐き出したいところだが、食堂のおばちゃんに失礼なので吐き出せない。
「くっ……うっ!」
気合いで、なんとか飲み込む。
手には、まだ揚げナスパンが残っている。
……いけるのか、俺。
深呼吸をしてから、一気に揚げナスパンを食べていく。
なんとか完食し、俺の冒険は終わった。
この後、授業中に胃もたれしたのは、言うまでもない。

7/10/2025, 10:19:34 PM