暁星

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「今月の生きたもん勝ちで賞、当選おめでとう!栄えある強運のそなたに素敵な賞品をプレゼントしよう」
目の前に全身白いスーツを着た青年が現れた。


いつも通り、会社からの何の変哲もない帰り道だったはず。しかし、そこはただ全てが白い世界に変貌してしまっていた。
そして、その青年の顔は、何故か認識することが出来ない。状況が上手く飲み込めずに、ただ私は呆然とその青年を眺めた。


「さて、お待ちかねの賞品だが、好きな場所、時間、過去、未来、別の世界、どこでも構わない、たった一度だけ願いを叶えてやる」
なんとなく、柔らかい笑顔を浮かべている感じはする。その青年が発する声らしきものは、直接、頭に響いて聞こえた。

なんでも……だけど、彼はきっと優しい存在ではないはず、いままでいた場所へは戻れなくなるはず。
それでも構わない、私はずっと後悔していることがあったから……



「私をあの場所へ戻して下さい」



目の前の白い景色は消え去り、懐かしい人が私の顔を覗き込んでいた。
「ごめん、酔いすぎたかな……忘れて」
思わず、抱き締めていた私から離れようとする彼の腕を掴んでいた。
「ねぇ、どうしてキスしたの?私のこと好きなの?」
自分に自信が無さすぎて、彼と私では釣り合わないと最初から全てを否定してた。でも、ずっと知りたかった答え……

お互いの視線が絡み合い、時間が止まっていた。そして私を抱き締める、彼の腕に力が入る。
「聞いて欲しいことがある……俺のこと、信じてくれる?」



『神様が舞い降りてきて、こう言った。』

7/28/2023, 10:47:43 AM