宵街

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 いつも貴方は遠くを見ている。ここに居るのに、いないみたいに。
 現実を見ないようにしてるのか、それとも最初から見えていないのか。そんなの僕にはわからないけれど、つい貴方と同じ方向を見てしまう。

 するとなぜか、真新しいものが見えたりするもので。

「今日は花を見つけたんだね、どんな名前の花なんだろう」

 言葉を亡くした貴方の重みに軋む車椅子を押しながら、貴方の視線の行く先に今日も散歩をしてみるのだ。

5.『視線の先には』

7/19/2023, 10:28:51 AM