『またね!』
小・中・高と、ずっと一緒だった友達がいた。
私も彼女も、このままずっと一緒にいるものだと思っていた。
けれど、進路を決めるにあたって、彼女の行きたいところと私の希望するところが違うことが判明した。
彼女は、第一志望を私に合わせて変えると言った。
私はそれを拒んだ。
彼女が私に合わせるのも、私が彼女に合わせるのもよくないと、そう言ったのだ。
それからの二人はどこかギクシャクしてしまい、卒業まで元に戻ることはなかった。
卒業式当日も、なにか声をかけたいのに何を言っていいのか分からなかった。
多分、彼女も同じだったのだろう。
式が終わり、みんなと別れの言葉を掛け合い、三々五々に散っていく。
このまま帰ったら、疎遠になってしまうかもしれない。
私は彼女を追いかけた。
駆け寄る足音に彼女が振り向く。
なにも言葉を用意していなかった私は、咄嗟に叫んだ。
「またね!」
目が合った。彼女の唇が動いた。
「うん、また」
それから長い年月が経った。
昔ほど濃密な関係ではないが、今でも数年に一度、会って互いの近況を報告し合っている。
4/1/2025, 7:59:34 AM