ミニ小説(2)「病室」
ああ、風が吹いている。
心地よさそうな風だ。
地面に落ちた葉を持ち上げ、ふわあと浮かばせては落とす。
病室から眺めていた。
「〇〇さん、また外を眺めているんですか?」
看護師が入ってきて〇〇はうなずいた。ペンとノートを持ち、文字をスラスラと書いてゆく。
「夢は、何?」
看護師に聞かれ、〇〇はノートに3文字の文字を書いた。そこには、「小説家」と書かれていた。
難病にかかり、もう助かる可能性はないと診断されており、未来は無い。
「うふふ。1日でも長く、小説を書きたいんですね。」
看護師が言っても、反応しない。
もう喋ることも憂鬱になっていたからだ。
「〇〇さん!」
声が聞こえても、〇〇は返事をしなかった。心電図を見たくなくなってきた。
「〇〇さん! うなずくだけでもしてください!」
助かる見込みは無かった。〇〇の、短い人生だった。その後、看護師が部屋に入ると、一冊のノートを見つけた。
名前は、「幸せ」
そのノートを開いてみると、
『自分は今、幸せですか? 僕は幸せではありません。そんな僕の夢を語った物語です。
風が気持ちいい。ストレッチをしながら僕は思いました。僕の子供たちが元気に遊び、はしゃぎ回っています。昔、とある看護師さんにお世話になりました。いつもご飯を届けてくれたり、話し相手になってくれたりしました。難病と言われた僕の、最初の友達でした。今は幸せに暮らせています。僕は、小説家になれました。夢が、小説家だったのでとても嬉しいです。葉っぱを持ち上げて、落とした風をずっと見ていました。見てたら、本当の姿の風が見えそうだからです。また、僕は』
そこでノートは途切れていた。
メッセージ
2回目です! 何か書こうと思ったら感動回になる(自分的の)
見てくれた方ありがとうございます(*´˘`*)
8/2/2023, 12:15:50 PM