題 風邪
なんて運が悪いんだろう
私は今日デートだってのに風邪で今寝込んでる。
朝熱測ったら8度あって・・・。
試験終わりで久しぶりに彼氏と会えると思ったのに~!
っていう気持ちと、もうダメ、ぐったりっていう気持ち。
熱が結構上がっていて、割と今しんどい。
お母さんもお父さんも仕事だし、今は私一人だけだ。
彼氏に連絡しても、返信無しだし。
てか未読スルーだし。
そんなことある?
あ、ちょっとイライラしてきた・・・。
眠って全て忘れよう・・・。
って思ってたら。
ピンポーンってチャイムの音。
こんなときに~!?
えー、辛い、居留守使おう。
と決めて目を閉じると・・・。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ドンドンドンときた。
なっ、なになに?
ドアを叩く音がして、慌ててしんどい体を起こす。
階段を降りて鍵を開けると、そこには彼氏がいた。
「大丈夫?!」
「えっ、ナツキくん、なんで?メール見てなかったんじゃ・・・」
「通知見れるから・・両親いないんだろ?急いで氷枕とかポカリとか、ウィダーインゼリーとか買ってきたよ、とにかく、暖かくして、ベッド戻れよ」
そう言われて、嬉しくて体がじんわりした。
「うん・・・」
玄関に来るまではあんなにしんどかったのに、今はそんなに辛くないなぁ。
隣にナツキくんがいてくれるから。
大人しく、促されるままにベットに入って布団をかけてもらう。
「びっくりしたよ、デート待ってたらいきなり具合悪いってくるから。とにかくシホの家に向かわなきゃって・・・」
「メールの返信ないから、見てくれてないのかと思った・・・」
「そんなわけないだろ?!シホのメールなんだから。速攻コンビニ走ってここまで来たよ」
あ、よく見ると、汗かいてる。
本当に急いできてくれたんだなぁ。
再び私の中に暖かいものが駆け巡る。
「ナツキくん、ありがと、あの、今日デートなしになっちゃってごめんね」
「気にするなよ。シホが元気じゃないならデートなんてしたくないよ。シホがまた元気になったらたくさんデートしよう」
「うん・・・」
あ、おかしい、涙腺が緩んで涙がこぼれそうになる。
「泣くなよ・・・」
優しいナツキくんの声。
嬉しいな。こんなに優しいナツキくんを見ることが出来て、風邪は苦しいけど。なんだか幸せだ。
ありがとうって素直に思えるから。
元気になったら私が食事奢らなきゃ。
たくさんたくさんナツキくんと幸せな時間を過ごすんだ。
そんな幸せな妄想がわたしの頭を占めて、ナツキくんに変な顔されちゃった。
ナツキくんがそばに居てくれるだけで幸せっていう気持ちも妄想も収まることが無かった。
12/17/2024, 1:16:30 AM