屋根のついたバス停
バスを待つ僕と君
前線が停滞しているせいか最近は雨模様だ
いつも同じバスに乗るのでお互い顔は知っているはずだが、人見知りのせいか話したことはない
君は今日も黒いヘッドホンをして本を読んでいる
雨のせいか余計な音は何一つ聞こえない
どこかのジブリアニメで見たような光景だ
そんな時ふと風が吹いた
雨風が入ってきた
服についた雨滴を払った
ふと視界に君が映る
服が濡れることなど気にもせずそのまま読書に夢中になっているようだった
風に揺れる髪と靡くその姿はお淑やかで寂しそうに見えた
どこか切なそうな瞳が心を締め付ける
どうしてだろう
バス停で同じバスを待つだけ
それだけだと思っていた
誰かを気にするなんていつぶりだろう
降り頻る雨が僕をそうさせたのか
気がつけば体が動いていた
〜続く〜
「雨と君」
9/8/2025, 8:36:07 AM