あなたのもとへ
友だちの果穂に、隣の男子高校の知り合いがケガをしたと聞いた。入院した先は、ちょうど通っている高校への途中だったので、朝、1つ早い電車で行って、お見舞いしてみた。
彼がケガをしたのは足で、ギプスをつけられて不自由そうだった。痛い?もうご飯食べた?いつまで入院するの?登校前なので、そんな短い会話をして、すぐに辞した。
その後登校して、果穂に「お見舞いに寄ってきたよ」と言ったら、彼女が大騒ぎ。
「いつもギリギリに駆け込んでくるあゆみが、1つ早い電車で来たぁ?それは、たいへんだ!」
「たいへんって、何よ?」
「あゆみ、自分で気づいてないの?あんた吉成くん好きでしょう?」
「へ?」
「変な声出すんじゃないわよ。だってさ、寝ぼすけが、電車1つでも早く起きたんだから、気持ちが無きゃ出来ないよ」
「えーそうかなぁ。可哀想だし、どんな顔で入院してんのかな、って思っただけだと思うんだけど」
「だぁかぁらぁ、興味を持ったんでしょ?どうしてるのかな?って。」
「うん、まぁ、そーだけどさ」
果穂によって、私は吉成くんが好きだということにされてしまった。
次の朝も寄ってきた。昨日、吉成くんが、「明日の朝も来る?」って聞くから、勢いで「うん」と言っちゃったからだ。
学校に着くと、また果穂に「ほらぁ、やっぱり!2日も続けて早起きしたんだよ!」と言われた。
人の心って不思議なもので、果穂に私が吉成くんを好きだと決めつけられたら、なんか意識しちゃったんだよね。
次の朝はもう、いそいそと、あなたのもとへ!っていう感じになっちゃった。
1/16/2025, 3:42:09 AM