題 青い風
ふと風がふくのを感じた。
「どうしたの?」
彼氏がそう問いかけてくる。
「今風が吹いたの。緑の風」
爽やかな5月、風に今色がついたように私には見えた。
「風に色?ああ、新緑の色がそう見えたのかもな」
彼氏がそう言う。
「違うの!風に色がついてたんだってば」
私はなぜかムキになっていた。
どうしてか分からないけど、わかって欲しい気持ちがあったのかもしれない。
彼氏は曖昧な笑みを浮かべて頷いた。
「わかった、分かったよ、色が付いてたんだな」
⋯わかって貰えてないと思った。それでも私はその返答で満足するしかなった。
夏はミントグリーン、秋はカラシ色。
私の目はおかしくなったのかもしれない。
空気に淡い色が付いて見える。
そして⋯⋯彼氏はそんなこと言う私を面倒くさがって⋯⋯。
別れを告げられた。
その時⋯⋯。
空気がディープ・ブルーになった。
視界が濃い青になった。
ああ、私が正しかったんだと思った。
葉っぱや花や空の色を投影するしてるとごまかせないくらい本当に濃いブルーだったから。
空気に色が付いて見える。
それは私の感情が、心の動きが、色として見えていたのかもしれない。
そうだとしたら分かってなんてもらえなくて当然か。
それでも、いつか分かってもらえる人がいたら⋯⋯。
そうなんだね、色が君には見えるんだね、と信じてくれる人がいたら⋯⋯。
私はその人に心を開きたいな。
7/4/2025, 10:13:41 AM