誘喜

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 今回のお題、ポエムとか小説とかの方が有利じゃないですか。論説文主義の僕にとってはとても難しいお題。ということで、久しぶりに小説、書いてみようかな。

 あぁ、僕、死んだんだ。舟の上に揺られている。そうか、もう三途の川の真ん中辺りまで来ている。……なんで死んだんだったっけ。そう考えているうち、声が聞こえてきた。三年前に死んだ爺ちゃんの声。幼い頃、両親を交通事故で亡くした僕にとっての唯一の肉親。爺ちゃんが僕を呼んでいる。僕を待ってくれている。爺ちゃんのもとへ早く行かなくちゃ。あともう少し。こうちゃん、こうちゃん。僕を呼ぶ声。爺ちゃんじゃあない。それよりずっと若い、張りのある声。あぁ、今となっては名も忘れた、幼稚園の親友。君のことはよく覚えていない。でも、その声はなぜか何よりも温かく僕の心に響いた。ごめん、爺ちゃん。まだ、この川を渡りきるわけにはいかない。そう言って舟を引き返した。
             続く(続きません)

2/15/2025, 10:14:31 AM