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キミと出会ったのは、私が小学生の時。
両親に何度もお願いして、お手伝いもたくさんして
ようやく会えたのがキミだった。

初めて会えた時は一目惚れしてすぐにキミに惚れ込んだ。
それから毎日ずっと一緒だったよね。

散歩も何度も一緒に行ったし、家族でドライブにも行ったね。

中学生になり、お母さんと何度も喧嘩した時はずっと泣いている私に寄り添ってくれたね。

高校生になって初めて彼氏を家に連れて来た時は、ずっと警戒していたね。嫉妬してくれていたのかな。

大学生になり、友達と外出する事が増えたけど、キミはいつも私の部屋で待っていてくれたね。

社会に出る時に一人暮らしをする事になった。
初めて家族と離れる私にキミはずっと玄関から動かなかったとお母さんから聞いたよ。

それから実家には年に数回しか帰れなくなって、
忙しいと自分に言い訳してた。

それからまた数年経ったある日
もう別れの時が近いと知って、慌てて実家に戻った。

最後に会った時よりも痩せて弱っていた。
ごめんねごめんね。
何度も何度も謝った。
もっと会いにくれば良かった。
もっと抱きしめてやれば良かった。

そっと頭や体を撫でて名前を呼ぶ。

浅い呼吸の中細く目を開け私の姿を見つけると
体をゆっくり起こし、私に寄り添ってくれた。

そのまま抱きしめて、大好きと伝える。
それに応えるかのように
小さく「クゥン」となき、ゆっくり呼吸が止まった。


5/20/2023, 12:04:32 AM