NoName14

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天気の話なんてどうだっていいんだ。

僕が話したいことは、
昨日偶然、見かけた君が
物凄く
寂しそうに空を見あげていたから

その、理由が知りたくて
何故だか無性に気になって…。

同じ時間のバス停でしか
接点のない僕ら
なんとなくの会話をするように
なったのは、遅刻しかけて
家を飛び出した僕の
口に歯磨き粉の残りが付いていたからだった。

彼女は、鞄から手鏡とティッシュを
出してくれたが
それと、一緒に沢山の小さなお菓子まで
ポロポロと落として、顔を真っ赤にした彼女
が、慌てて拾うのを手伝いながら
2人でクスクスと笑った。

一年が経ち、転勤が決まった。
いつものなんとなくの会話で転勤の
話しをした。彼女は、寂しくなるなーと
鞄から小さなお菓子を取り出して
お餞別!っと、頬を染め…あの日みたいに
クスクスと笑っていた。


『雨は、大丈夫そうですよ』
スマホを眺めていた、彼女は僕の
方に顔を向けた。

『あ、ありがとう。ところでさ…』


-連絡先、交換しませんか?-


これが、これから始まっていく
僕らの物語の始まりだ。

涙の理由も、僕らが連絡をとり始めてから
久々に会う話も…まだ、少しだけ先の話し。

5/31/2023, 2:30:58 PM